今日は無料相談から来た質問でとても良い内容でしたので、他の方にも見えるように記事にします。
良いビジネスコーチに出会うためにはどうすればいいのか
無料相談の内容
相談者
Rくん・20代・男性
相談内容
(途中省略&一部要約)
将来(数年以内に)親の事業を受け継ぐので、いま必死にビジネスを勉強しています。
よいビジネスコーチと出会う手段はありますか?
※僕の補足
ビジネスコーチという言葉は個人的には馴染みがなかったのですが、言いたいことは分かります。
おそらく・・・
今ビジネスを学びたい、または、今すぐに学ばなければいけない
世の中に、経営者にビジネスを教える人がいることは知っている
しかし、低レベルな内容や詐欺のような内容しか教えられない人がいることも知っている
自分に合ったビジネス・自分がやっているビジネスに合うことを教えられる人が、どこかにはいる。
と思っている。
つまり問題は、
1.どこで知り合うのか
2.どうやったら自社に合う人を見つけられるのか
3.どうやったら彼らからビジネスを教われるのか
が分からない・上手くいかない、ということなのかと。
無料相談への回答
シンプル回答編。
Q1.どこでコンサルタントと知り合うのか
A1.コンサルタントが主催しているセミナーに(出来るだけ良い席で)参加するか、彼らの書籍や製作物経由で問い合わせるか、サイトがあれば直接連絡して会いに行く、のが早いです。
Q2.どうやったら自社に合うコンサルタントを見つけられるのか
A2.実績を聞いてみてください。あと大事なのは、その人の口調(口癖や言い回し)・文調・思考が、生理的に受け入れられるか、です。どんなに自社に合っている良い戦略でも、それを話す人・伝えてくる人が生理的に受け入れられないとまったく成果は出ません。
Q3.どうやったら彼らからビジネスを教われるのか
A3.報酬額と自社の将来性です。コンサルティングはビジネスですから報酬額が大事です。次に、どのコンサルタントも失敗確率が高い案件は、よほどの高額報酬でないと、引き受けません。将来性があるビジネス・業種・業界だと思わせることが大事です。
長文回答編。
Rくん、以下は走り書きなので、文章として纏まりがないことはご了承ください。
あと、読むのに10分以上かかりますので、お時間あればどうぞ。
どこでコンサルタントと知り合うのか
まず、経営コンサルタントとしての優秀さと学歴はほぼ影響しません。
東大出身だから優秀とか意味不明です。
しかし、その人がコンサルタントとして、どこでビジネスを学んだかによって、優秀さは大きく変わると思っています。
コンサルタント業界の中ではコンサルファームと事業会社は分けて考えられてます。
コンサルファームとはコンサルタントを社員として抱えている会社で自社のビジネスは他社をコンサルティングすること、事業会社とはその会社として事業を持っている会社のこと。
外資系コンサルティングファームとしてよく名前が出る、マッキンゼー、ボストンコンサルティング、ローランドベルガー、などは戦略コンサルティングファームで、アクセンチュアはどちらかというとITコンサルティングファーム、日系コンサルティングファームで一番有名なのは船井総研ですね。
学歴はコンサルタントとしての優秀さに影響しないと言いましたが、新卒でコンサルティングファームに入るためにはある程度の学歴が必要なので、因果関係はあるかもしれません。
余談ですが、事業会社が外部コンサルタントを使う場合、「社長の言うことを聞かない社員に、社長の意思を伝えて、社長のやりたい事をやらせる」役割を期待される場合があります。
その場合、部下の人たちに「言うことを聞かせる」方法として学歴が用いられることがあり、そういった意味でも学歴が高い人が望まれる傾向があります。
簡単にいえば、「ハーバード大でMBAを取ったコンサルタントの言うことは、理解できなくても、反論もでき無さそうだし、なんとなく凄そうだから、まずは受け入れやすくなる」です。
さて、前述した「どこでビジネスを学んだか」は、在籍していたコンサルファームのことで、属していたファームや組織によって、その人が得意とする手法・ロジックはぜんぜん違います。
ちなみに、本屋などでコンサル手法・分析手法と呼ばれる幾つかの方法は、ファームに属するコンサルタントは出来て当然のレベルで、そんなのアピールポイントにもなりません。(ネットビジネス界ではやたらとアピールする自称コンサルが多いですが。笑)
あと、経営コンサル・企業コンサルしてると自称する人が、もし財務諸表が読めないとしたらクソすぎますね。詐欺ってますね。
あ、マーケティング・セールス・HRなどのコンサルだったら、財務諸表を読む力がなくてもなんとかなります。(ネットビジネスの人たちはこの辺だけが強いので、BS/PLって何?という感じでもOKなのかもしれませんね)
さて、
なぜコンサルティングファームのコンサルタントや出身コンサルタントを紹介しているかというと、同業種・他業種の成功事例・失敗事例を多く持っているからで、言い方はすごく悪いですが「超ハイレベルなコピペ」で業務改善・売上激増が実現するからです。
もし、その業界に自社しかいないのであれば、他業種の成功事例を持ってくればいいだけですし、同じ業界に沢山の企業が参入しているならば、他社や他業種の成功事例をコピペし、失敗事例を避ければいいのです。
大企業であっても完璧な会社なんてありませんし、常に成功と失敗の繰り返し。
ただ、その「成功事例」「失敗事例」が内部から公になることは少なく、探そうと思っても見つけるために、多大な手間と労力と時間が必要です。
しかし、経験値が多いコンサルティングファームならば秘密保持契約で守られた情報以外は共有してもらえますし、成功確率が高い手法を自社にアレンジしてくれる事も多いです。
よって、ファームか、ファームで経験を多く積んだ独立コンサルを選ぶほうが時間を節約し、さらに、効果を早く大きく出せると思います。
ちなみに、ネットビジネス界で有名になりつつある、船井総研出身のNISHIさん。
さすが大手コンサルティングファーム出身で、彼のメルマガはとても分かりやすく書かれていますが、相当情報を抑えてますね。おそらく読者に合わせて目線を下げているかと思われます。
だって、船井総研の手法やロジックはあんなもんじゃないですから。
最後に、
一番避けるべき・絶対に避けるべきは、コンサルティング実務経験ゼロの学者タイプと、社員として会社から資産を与えられて自社の一事業しか経験していないタイプです。
どうやったら自社に合うコンサルタントを見つけられるのか
ご存知の通り、日本だけでも業種・業界はバラバラで、官公庁・商社、消費財メーカー、自動車メーカー、飲料メーカー、デベロッパー、マスコミ、証券、銀行、ローン・リース、保険、サービス業・SPA・小売業・IT業などなどなど、それぞれの業界では特異な商流があり、大企業・中小企業・ベンチャー企業といった会社規模に応じて、コンサル手法は常に変化します。
また、日本国内で製造から販売まで、海外で生産して日本で販売、日本で製造して海外で販売、海外で生産して海外で販売、の4パターンに応じて取るべき手段は異なりますし、一口に海外と言っても、北米・中南米・ヨーロッパ・アフリカ・中東・中央アジア・東南アジア・オセアニア・中華圏など地域によって全く異なる戦略が必要となります。
ですので、もし大手コンサルティングファーム系コンサルタント、または、そこ出身のコンサルタントを選ぶならば、まずは自分のいる業界での実績があるファームを選ぶのが先で、そのあとに、その会社のセミナーに参加したり、グーグルなどで企業名(コンサルファーム名)検索をして、経歴欄でファーム名が書かれた独立したコンサルタントを探すのが良いと思います。
もちろんRくんの親の会社の業界と会社規模で選ぶべき戦略は大きく異なりますし、同じ業界でもビジネスモデルが変われば戦略も変わります。
さらに、経営全般のコンサルティングなのか、マーケティング・営業・人事・ファイナンス・顧客サポート・購買などの部門ごとのコンサルティングなのか、それによっても選ぶべきコンサルタントは異なります。
当然ですが、自社の規模が変わったり、マーケットが変わったり、製品が変わったりすれば、異なる戦略・異なるコンサルタントが必要となります。
また、コンサルタントの中にも、0→1が得意な人と、1→10が得意な人がいますので、そこも見極めが必要です。
僕は結構ネットビジネス界の自称コンサルを否定しますが、インターネットマーケティングというジャンル特化ならば彼らが良いです。
たとえば、各SNSからの誘導、メルマガでのセールス拡大、ツールを使ったセールス自動化、インターネット有料広告の活用、など、インターネットに特化したコンサルを受けたい場合、彼らのノウハウは他の一般的なコンサルタントを遥かに凌駕しますし、一般的なコンサルタントよりも超低額です。
ちなみに、
大手広告代理店の人たちは、枠を売っているだけで、彼ら個人に経営改善のノウハウはないです。
親が経営者であれば会社としてお付き合いのある銀行があるでしょうが、銀行にコンサル紹介を依頼すると、あまり良いコンサルを紹介してもらえるとは思えません。しかし、小規模の事業譲渡や事業買収は銀行を巻き込むほうがいいです。
人事面は、採用・教育・解雇とステップが分かれ、それぞれに特化したコンサルがいます。
顧客サポートはツール導入が必須ですので、中立の立場でパッケージ選定してくれる人が大事。
購買は工場建設の有無でまったく違う戦略になりますが、こちらもツール導入が必須で、有名なツールSAPは利用企業が多く良さそうに見えますが、導入コスト・メンテナンスコスト・ライセンスもべらぼうに高いです。なので、こちらも、SAP一択ではなく、中立性のあるパッケージ選定が出来る人が必要ですね。
あ、忘れてました。
普通は、パッケージ選定だけでコンサル費が掛かりますけどね。
人として生理的に受け入れられるか
そして、一番大事なのが、自分が接するコンサルタント個人の口調・口癖・言い回し・イントネーション・文調・見た目・香水・思考などです。
どんなに自社に合った素晴らしい戦略を提示されても、それを伝えてくる人が生理的に受け入れられなければ、効果はゼロです。いや、コンサルフィーを払っていますし、コンサルタントリサーチ・選定の時間もかけていますので、マイナスです。
なので、まずは、その人を生理的に受け入れられるか、をしっかりと判断してください。
どうやったら彼らからビジネスを学べるのか(コンサルティングしてもらえるのか)
はい、カネです。笑
次に、Rくんの会社の将来性です。
コンサルタントへのコンサルフィー
大手コンサルティングファームの新人レベル(大学卒業して数ヶ月〜3年程度)のコンサルフィーでは、おおよそ月150万円〜200万円です。もっと熟練のコンサルタントを呼ぶ場合、数倍〜十数倍です。
驚くかもしれませんが、4月に入社・7月まで新人研修・8月からプロジェクト参加、の全く戦力にならないコンサルでも、月150万円掛かるんですよねぇ。。
これは、プロジェクトに入らない管理部門や、入るプロジェクトが無い待機コンサルタントの給料も含まれているからで、社員としてコンサルタントを抱えているファームに依頼する場合、コンサルフィーが高くなるのは当然です。
しかし前述したように、他業種・他社の成功事例や失敗事例の情報価値はものすごく高く、それをきちんとアレンジしてくれるならば、むしろ安いです。
だって、月200万円払って得たノウハウ・戦略で、自社の売上が月1000万円上がったらOKですもん。
この辺の「情報への価値」を理解できるならば、大手コンサルティングファームや大手コンサルティングファーム出身者を使えると思います。
自社の将来性
コンサルティングファームや独立コンサルタントとして事業を継続していく場合、成功事例だけを増やしたくて、失敗事例は作りたくないものです。
なぜなら、経営者間の口コミで失敗コンサルティングの噂が広がった場合、その業界でお客さんを増やすのがとても難しくなるからです。
逆に、成功コンサルティングを増やすと、口コミで(紹介で)次のお客さんが来てくれます。
ここまですごく偉そうにコンサルタントのことを語っておいて、今さら身も蓋もないことを言うと、、、
どんなに優れた戦略でも、
その事業・その会社・その業界に将来性が無かった場合、
失敗する可能性が高く、
逆に、
どんなに優れていない戦略でも、
事業・会社・業界が将来性がある場合、
成功する可能性が高い
のです。
かなり報酬が高ければ、社員を食わせるために失敗覚悟でコンサルを引き受ける企業もありますが、基本的には「失敗しそうな案件は受けない」です。
あと、
コンサルタントに戦略立案までをさせるのか、それを実行するところまでやらせるのか、それによって引き受けるかどうかが変わります。
自社内にノウハウをためたい場合には、コンサルタントと一緒に自社の人材を動かした方がいいですね。
もう一つ、経営者として、コンサルタントが考えた戦略に、どれだけの資本・人員を投資するのか、もコンサルタントが引き受ける条件になります。
よって、
もしRくんの親の事業・会社・業界に将来性が無い・無さそうならば、
成功確率が低そうな事業・業界は変えず、
プロジェクト投資はせずに、
優秀ではないコンサルタントに安いコンサルフィーを払う
成功確率が低そうな事業・業界は変えず、
プロジェクト投資はせずに、
優秀なコンサルタントに相場よりも超高いコンサルフィーを払う
成功確率が低そうな事業・業界は変えず、
プロジェクト投資をたくさん行いつつ、
優秀なコンサルタントに相場通りのコンサルフィーを払う
成功確率が高そうな事業・業界に変えて、
プロジェクト投資はせずに、
優秀なコンサルタントが相場通りのコンサルフィーを払う
成功確率が高そうな事業・業界に変えて、
プロジェクト投資をたくさん行いつつ
優秀なコンサルタントが相場よりも安いコンサルフィーを払う
このどれかを真剣に選んだ方がいいです。
ちなみに、
僕(のように管理部門を外注化し、自分一人でコンサルティング業務を行っている場合で)も、成功しやすいクライアントしか選びたくないです。
一時的な高い報酬額に目がくらんで、将来のコンサルフィーを失うとかバカですから。
ただ、成功しやすい事業・会社はもう肌感覚でしかなく、上場企業だって粉飾決算するこのご時世、コンサル契約前・NDA契約前に見れる財務諸表なんて信用できません。まぁ、NDAを結んだところで、情報の正確性は担保できませんけどね。
なので、もう「人を見る目」「世の中の流れをつかむ力」「自分が出来ることと出来ないことの判断」を常に高くしながら、クライアントを選ぶしか無いのです。
なお、説明力とか、プレゼン力とか、スライド作成力とか、資料作成力とか、そんな枝葉は出来て当然レベルなので、敢えてアピールなんてしないです。
おわりに
Rくん、個人情報も実績もなにも載せていない僕の(怪しい)ブログから連絡してくれてありがとうございます。
超長文で、さらに、読みにくいかもしれませんが、少しでもRくんの役に立ててたら嬉しいです。
これからも宜しくお願い致します。
ではまた〜〜。